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一村一品プロジェクトを支援するバイオアッセイ技術習得のための食農環境教育モデルの構築

筑波大学
礒田 博子

1. 概要

バイオアッセイ(生物評価)技術は、機能性食品・医薬品・化粧品開発の ためのシーズ探索に非常に有用なツールであり、日本の大学の農学・医学・薬 学分野では一般的な実験手法である。本事業では、途上国の高等教育の食農環 境教育分野に バイオアッセイ技術教育を導入することにより、途上国の農産物の機能性 に新たな付加価値を見出し、技術に裏打ちされた 一村一品プロジェクトの推進につながる教育協力モデルの構築を行う。 一村一品プロジェクトは途上国の地域産業振興を活性化する位置づけにあ り、来年度開催 されるTICAD においても重要なトピックである。本事業では、日本の大学の中でアフリカに唯一 設置している海外拠点である「筑波大学 北アフリカ・地中海連携センター」を足場にして、 一村一品プロジェクト に邁進しているチュニジア の中核大学を対象とするが、本事業の成果物としての教育プログラムおよ び英文の教科書は、途上国における技術に裏打ちされた 一村一品プロジェクト を推進する高等教育モデルとして汎用できるもの である。

2. 目標

これまでのチュニジア との共同研究において、北アフリカ原産のオリーブや薬用植物を対象とし た バイオアッセイ技術による機能性探索の結果、白血病抑制・抗アレルギー・ 動脈硬化発症進展抑制・発毛促進・美白・ストレス抑制・抗肥満・肝硬変予防 等の多くの機能性が見出され特許の共同出願や学術論文共著等の成果を得てい る。このように産業振興に向けた高いポテンシャルを有するアフリカの農作 物を対象とした バイオアッセイ技術教育プログラムとして、チュニジア の中核大学であるカルタゴ11月7 日大学スファックス大学スース大学の学生を対象に講義・学生実 験を行い、現地の基礎学力レベルに応じた英文テキスト(教科書)を作成する。

3. 成果物

途上国の食農環境高等教育分野における バイオアッセイ技術教育プログラム、現地の学生の基礎学力レベルを考慮 した各種 バイオアッセイに関する基礎知識および実験技術を教示した英文のテキス ト(教科書)が成果物として期待される。また、将来的に日本がチュニジア の大学等を拠点としてアフリカ諸国の 若手研究者育成を行う第三国研修の高等教育モデルの足がかりともなる。

4. 国内報告会資料

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