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モザンビークと日本との協働によるグローバル倫理形成を目指したESD教材の開発

愛媛大学

1 概要

本申請事業は,開発途上国と先進国とが共に持続可能な社会を目指すために必要なグローバル倫理の形成に役立てることのできる,高校生および大学生初年次生レベルを対象としたカードゲーム型ESD教材を作成することを最終目標とする。また,開発するESD教材自体の持続的利用を図るため,教材の活用に必要な実践者の養成を両国の高等教育機関を主体として行う仕組みと必要なマニュアルを作成するとともに,両国の教員研修やESD実践者会議などの機会を利用して継続的に実践者へ普及するしくみを構築する。なお,本事業では本モデルを広く普及することを目的に教材の作成に至るまでのプロセスを重視し,詳細に記録すると共にマニュアルの中に含めて報告する。さらに,愛媛県内およびモザンビーク対象地域内の高校生および大学生初年時生がインターネットテレビ会議を活用してインタラクティブなやりとりの中で臨場感のあるESD学習活動を展開することができるICTのしくみを取り入れる。
本年度は,モザンビーク教育文化省,モザンビーク環境調整省,Lurio大学,Eduardo Mondlane大学の関係者との連絡調整を行うことと,教材を活用する日本側とモザンビークの高校生および大学生初年次生自身による教材資源の掘り起こしを通じた教材開発を行うため相互往来型の開発会議を行う。相互往来時には,相互の関係者が現地で調査と議論を展開しながらカードゲームを作成する。
最終目標を目指して,本年度実施する事業はカードゲーム型ESD学習教材の作成および,教材の活用に必要な参加者用および実践者用ESD教材マニュアルを作成する。また,次年度の教材完成と本格実施を目指して,実践者養成のための研修プログラムを作成する。また,事業実施中および事業終了後も継続的にモザンビーク教育機関と愛媛県内教育機関とがインタラクティブな交流を通して教材を活用できる仕組みとして,モザンビークでも活用する仕組みが整っている安価なインターネットテレビ会議システムを利用したローコスト・ローテクICT遠隔授業の試行を行う。また,この仕組みを利用した国際トーナメントの開催を目指した準備を行う。

2 目標

本年度は,本事業の最終目標を目指して以下の項目を目標として設定する。
  1. グローバル倫理形成のためのカードゲーム型ESD教材の作成
a) カードゲーム型ESD学習教材
本年度では,現地調査の結果を反映して,グローバル倫理形成のためのカードゲーム型ESD教材を開発する。教材はモザンビーク国内においても独自に作成することのできる素材と技術を意識しながら,開発に必要なコストもできる限り押さえることを意識する。
b) 参加者用および実践者用ESD教材活用マニュアルの作成
モザンビーク関係者と協働して,開発した教材を有意義に活用するための,参加者用および実践者用の教材マニュアルを作成する。マニュアルには,開発するESD教材をきっかけに両者相互理解と今後目指すべき持続可能な社会のイメージづくり,さらにグローバル倫理の育成に結びつく情報を折り込み有意義な活動につなげる。なお,本事業では本モデルを広く普及することを目的に教材の作成に至るまでのプロセスを重視し,詳細に記録すると共にマニュアルの中に含めて報告する。
c) 実践者養成研修プログラムの作成
教材を有意義に活用するためには実践者の研修を行うプログラムが必要である。本年度は,愛媛大学環境ESD指導者養成カリキュラムで蓄積してきた経験を活用してプログラム案を作成する。愛媛県内では,愛媛大学環境ESD指導者養成カリキュラム,愛媛大学法文学部グローバル・スタディーズ・コースおよび愛媛大学教員免許状更新講習を活用しながら実践者の育成を図る仕組みを計画する。モザンビークにおいては,Lurio大学,MaputoRCEおよび現地NPOと連携しながら実践者を要請する仕組みを構築して研修プログラムを計画する。
d) ローコスト・ローテクICT遠隔授業の試行と国際トーナメントのしくみ
事業終了後も継続的にモザンビーク教育機関と愛媛県内教育機関とがインタラクティブな交流を通して教材を活用できる仕組みとして,安価なインターネットテレビ会議システムを利用したローコスト・ローテク遠隔授業を試行する。このことにより,相互に物理的に訪問することができなくても,臨場感のあるインタラクティブなESD活動を実施することのできる仕組みをつくることができる。また,この仕組みを利用した国際トーナメントの開催を目指した準備を行う。

3 成果物

  1. グローバル倫理形成のためのカードゲーム型ESD教材
a) カードゲーム型ESD学習教材
b) 参加者用および実践者用ESD教材活用マニュアル
c) 実践者養成研修プログラムの計画案
d) ローコスト・ローテクICT遠隔授業の試行
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