サブサハラアフリカにおける初等教育普及政策および行財政制度に関する比較分析
神戸大学大学院国際協力研究科
西村 幹子
1. 事業の目的
「万人のための教育」を達成するため、1990年代中ごろから、サハラ以南のアフリカの複数の国々で、初等教育の原則無償化を特徴とする政策が主流となっている。しかし、これらの政策の具体的な効果に関する分析は不足している。また、サブサハラアフリカでの教育政策や行財政制度は、近年、画一的になっているといわれる。こうした方針が各国の事情や能力にどの程度見合っているかを具体的に検証するには、各国に関する個別の分析に留まらず、アフリカ域内における初等教育の行財政制度の比較分析の視点が求められる。このような視点から、本事業は域内の初等教育政策というより大きな政策課題および教育行財政制度について比較分析を行い、課題を抽出し、各国および地域的な政策提言を得ることを目的とする。
2. 事業の実施方法・具体的な活動内容
事業の実施に当たっては、神戸大学大学院国際協力研究科も参画している既存のアフリカ・アジア大学間対話プロジェクトを基盤にしつつ、分析対象国(ケニア、ガーナ、マラウィ、ウガンダ)における研究者、政策実施者と日本側の活動実施者がペアを組んで活動に取り組む。また、平等なコミュニケーションを促進する観点から、報告書作成等の全ての成果物の使用言語は英語とし、アフリカ側、日本側が共同で作成する。具体的な活動としては、定例的な研究交流、各国の報告書作成、会議の開催、海外調査などが挙げられる。
3. 事業の成果
期待される成果は以下の4つである。
- サブサハラアフリカ地域の初等教育政策に関する共通の分析フレームワークの形成
- 各国の初等教育政策および初等教育行財政制度を体系的に比較できるようなリソースブックの作成
- 各国の初等教育政策および行財政制度に関する課題ならびに比較分析した合同報告書の出版
- アフリカ・アジア大学間プロジェクトネットワークを活用した共同政策提言書の作成