NGOと大学との連携による食農環境教育支援システムの構築
東京農業大学国際協力センター
藤本 彰三
1. 事業の目的
本事業は、食農環境教育に長年の実績を有する東京農業大学(TUA)と日本国内のNGO団体である特定非営利活動法人環境修復保全機構(ERECON)とが連携し、タイ国のカセサート大学(KU)、カンボジア王立農業大学(RUA)、Asian
Environmental and Rural Development(AERD)と協働しつつ、メコン河流域に位置するタイ国コンケン県およびカンボジア国プノンペン市の小学校を対象として、食農環境教育の支援システムの構築を図るものである。具体的には、小学生を対象に有機農業を通した食農環境教育を実施し、短期的な視点ではなく、長期的な視点からみた有機農業を通した土づくりや水環境保全の重要性を理解し、環境に調和した持続的農業を実践できる人材の育成をモデルとした教材開発や教育支援システムの構築を目的としている。
2. 事業の実施方法・具体的な活動内容
- タイ国、カンボジア国における食農環境教育の事例収集と分析
- TUA、ERECON、KU、RUA、AERDと共同での「NGOと大学との連携による食農環境教育支援システムの構築に関するワークショップ」の開催
- タイ国コンケン県、カンボジア国プノンペン市における有機農業や環境保全に関する小学校教員および小学生の意識調査
- タイ国コンケン県、カンボジア国プノンペン市の小学校における食農環境教育ワークショップの開催および総合演習等の時間を活用した食農環境教育の実施支援とその評価
- NGOと大学との連携による食農環境教育支援システムの構築(教材「持続的農業と有機肥料」の作成)
3. 事業の成果
平成18年8月28日と12月17・18日の二回にわたって、「NGOと大学との連携による食農環境教育支援システムの構築に関するワークショップ(タイ国)」を開催し、タイ国コンケン県の小学校における教員および生徒を対象としたアンケート調査、食農環境教育ワークショップの実施方法、有機農業の技術支援等について検討した。また平成18年12月15日にはプノンペン市にて「NGOと大学との連携による食農環境教育支援システムの構築に関するワークショップ(カンボジア国)」を開催し、プノンペン市内の小学校でのアンケート調査方法、RUAとNGOとの連携体制について論議した。
併せて8月29日にタイ国コンケン県の12小学校の教員および生徒(計98名)を集めて、NGOと大学との連携による食農環境教育ワークショップを開催した。食農環境教育ワークショップでは有機菜園づくりや炭焼きなどの実習を行い、その後、総合演習の時間を活用して有機菜園での野菜づくりを進めることとした。平成18年12月26日に有機菜園での野菜づくりに取り組んだ63名の生徒を対象にアンケート調査を実施し、食農環境教育の実施支援(1年目)の評価を試みた。