スキル・ディベロプメント分野の教育協力と経済発展に関する調査研究
広島大学教育開発国際協力研究センター
吉田 和浩
1. 事業の目的
低所得国にとどまっている途上国がもつ開発課題を克服する上で需要が高いと思われる中等教育レベルのスキル・ディベロプメント協力に焦点を当て、改めて日本の成功要因(外部要因を含む)を整理し、日本の過去の国際協力を概観した上で、今日の途上国のスキル・ディベロプメント・ニーズを類型化することを通じて、同ニーズを満たす上での有効な留意点を整理すること。
2. 事業の実施方法・具体的な活動内容
本活動の実施に当たり、以下の各課題点を設定する。
(1)スキル・ディベロプメントの範囲と本活動の範囲、(2)日本の経済発展と人材育成に果たした教育の役割(中等教育レベルを中心として)、(3)経済発展レベル・主要開発課題による今日の途上国の類型化、(4)スキル・ディベロプメント分野における日本の国際協力が何を目指し、どのように実現したか、(5)
(4)に対応し、異なる途上国経済が必要とする人材と教育が果たしうる役割、(6)まとめ・結論。
活動方法としては、既存文献のレビュー、事例研究としての取り上げる活動対象途上国の選定とその教育分野・経済分析、現地調査、活動実施者間の協議、途上国スキル・ディベロプメント分野の国際協力実務者や事例研究対象途上国における協力者・関係者および企業関係者との協議等を用いる。
活動結果は協力者・関係者にフィードバックし、その結果と合わせて活動成果を報告書としてまとめる。
活動期間は平成20年度までの3年間とし、初年度は計画通り課題(1)(2)(3)を中心に活動を実施する。
3. 事業の成果
課題(1)については、スキルは中等レベルを調査の基本とし、スキル・ディベロプメントの場としては、いわゆるTVET(技術職業教育・訓練)の中でもとりわけ公的機関によるものを主な調査研究の対象とすることで活動実施者間の合意をみた。(2)については、文献レビューを行い、その成果を国際協力機構ガーナ事務所で発表した。また国内の関係者から意見聴取・情報収集を行った。(3)については一人当たり国民所得、経済構造から見る工業化度、主要産業の労働生産性、失業率、等を用いて試験的に途上国の類型化を行った。このほか、次年度からの本格的な事例研究開始に先駆け、対象国を特定(カンボジア、ガーナ、南ア、ネパール)し、現地における調査協力者を選定し協力合意を取り付けた(南アは2月、ネパールは3月予定)。また、円滑、効果的な調査研究実施のため第1回活動調整会議を開催し(H18年7月)、第2回目をH19年3月に開催する。