インドシナ地域における農学・獣医学系大学でのアウトリーチ活動の現状と協力−普及の理論と検証
九州大学
緒方 一夫
1. 概要
本活動では「途上国の大学に蓄積された知識や大学で開発された技術は社
会に波及するか」をテーマ(調査仮説)に、これまで当該大学らが取り組んで
きたインドシナ地域での実績をもとに、大学での農学の技術開発と波及・普及
に関し、地域連携拠点としての大学の可能性について調査する。その際、調査
結果の分析に加え、調査手法のガイドライン化と分析を活かした関連人材育成
プログラムのモデル化を行う。調査項目は、途上国の大学に蓄積されている知
識技術リソースを解明する部分、大学で実施されている研究開発の実態調査に
関する部分、および大学で実施されている普及・波及活動の実態調査に関する
部分の3部で構成する。対象はベトナム
(ハノイ農業大学、カントー大学)、タイ
(チェラロンコン大学、カセサート大学
、チェンマイ大学)等を予定している。特にカントー大学はこれまでの調査により、
メコンデルタの拠点大学として普及・波及活動に豊富な実績を誇り、本調査で
はパイロット大学として波及活動の実践対象とする。
なお、本活動では九州大学−
東京農工大学−宮崎大学が連携し対象大学および
調査内容を分担して実施し、その結果を共有するため、我が国の大学間連携が
促進されという副次的な効果も期待される。
2. 目標
本活動の実施目標は以下のとおり:
- 現地資料の収集と分析:インドシナ地域の農学系大学について、基礎情
報(規模、組織、教員構成、普及プログラム、開発研究課題等)を収集、分
析し、同地域での戦略的展開に資する。
- 大学アウトリーチ機能とその検証:
- 現地大学に蓄積されている技術の検証:大学ネットワークの現状と現
地有用技術の解明
- 現地大学でのアウトリーチプログラムの事例解析:実績、効果、問題
点の抽出
- アウトリーチ/トレーニングプログラム・モデルの構築:対象、コ
ンテンツ、構成、テクニック、評価等を配慮した汎用モデルを構築す
る。
3. 成果物
本活動を実施することにより、以下の成果が期待できる。
- インドシナ地域農学関連大学・部局ディレクトリー
- 大学別アウトリーチ活動実績一覧
- 農業技術アウトリーチプログラムモデル
- 調査手法に関するガイドラインおよびアウトリーチプログラム実施のマ
ニュアル
なお、これらの成果は、最終報告書として刊行されるとともに、ホームページ
上に公開されることにより、国内に広く発信される。
4. 国内報告会資料