伝統知識と技術の再活性化によるアフリカの草の根的開発(Grass Root Development)と環境保護
名古屋大学
嶋田 義仁
1. 概要
現在世界の開発途上国の多くが急速な発展を遂げるなか、アフリカは依然
として停滞状況下にある。その理由として本研究グループが到達した基本認識
は、アフリカ
は他地域にくらべて西洋諸国による徹底した植民地支配をうけた結果、そ
の近代化があまり旧宗主国ベースですすみ、アフリカの伝統
知識や技術が「伝統」の名前で切り捨てられすぎたことにある。アフリカの発展
のためにはアフ
リカをもう一度植民地化して近代知識を徹底にたたきこむべしという開発
論者もいるが、本研究グループは、伝統首長制などもふくめて伝統知識や技術
はアフリカ
がその長い歴史の中で培ってきたアフリカの風土
や社会環境に適応した知識や技術であり、そのなかにこそ、アフリカの地に
足が着いた環境とも調和した、草の根的な持続的発展の鍵があると考え、その
再活性化のためのプログラムを策定する。英語で題して、Grass Root
Development Program.
2. 目標
- アフリカ
の伝統知識・技術は多様である。その多様さはアフリカの地域
的多様性に由来するが、その多様性は無限に多様ではなく、いくつかの類型に
分けられる。その類型化の方法として、当グループは歴史・自然環境分析の手
法を提案してきた。そこで、本活動の第一の目標として、歴史・環境分析を用
いて、アフリカ
の地域的多様性の第一次の類型化をはかることによって、アフリカの伝統
知識・技術の類型化をはかる。
- これを通じて同時に、地域の伝統知識・技術を析出する歴史・自然分析の
方法のマニュアル化をはかる。
- 今回は、ア
フリカのなかでも特に停滞状態にある「アフリカ内陸乾
燥イスラーム地域」の伝統首長制の残る北カメルーン
における伝統知識と技術を、特にその牧畜文化に注目しつつ明らかにし、
その再活性化による草の根発展と環境保護の具体的プログラムを、カメルーン
国北部の僻地レイ・ブーバでのワーク・ショップをつうじて提案する。
3. 成果物
- 目標に掲げた3目標、
- 歴史・自然環境分析によるアフリカの地域的多様性の大枠的な類型化、
- 歴史・自然環境分析のマニュアル化、
- 1. で類型化されたうちの一地域「伝統首長制が残るアフリカ内陸乾燥イ
スラーム地域」の草の根の開発と環境保護プログラムの具体的提案、
を内容とする成果報告書
- ワーク・ショップ地レイ・ブーバとワークショップの様子、これにもとづい
た草の根開発モデルを紹介したビデオの作成。
4. 国内報告会資料