開発途上国の労働者を対象とする職業保健に関する国際教育協力モデルの開発−スリランカにおける感染症予防教育の経験に基づいて−
北海道大学
玉城 英彦
1. 概要
代表者の研究グループではスリランカ
の省庁と研究者およびその一部
はJICA・
JBICとの連携にも基づいて、現地の狂
犬病、
HIV/AIDS
等の感染症の予防に関する疫学調査、予防介入対策の実施とその持続的な施行
へ向けて、様々な活動を協同で実施している。途上国での保健教育に関する国
際協力を鑑みると、緊急性や波及効果の大きさ等の事情から、職業保健は本来
まず最初に行うべき事柄でありながら十分であるとはいえない。本活動では、
インフラ事業などのハードウェアに組み合わせる形での、包括的な職業保健衛
生教育・人材開発等の国際協力パッケージの開発を志向する。我々の従来の蓄
積に加え、さらに職業保健に特化した現地でのニーズ調査に基づき、この可能
性を明らかにしながら、必要な情報の整理・提供の場を与えることにより、
JICA・
JBIC等、日本の開発支援力をスケール
アップさせるものである。
2. 目標
開発途上国の発展を左右する第一次要因となる、労働者の保健衛生の知
識・意識の啓発教育に関する従来までのノウハウの蓄積を体系化する。具体的
な活動拠点としてスリランカ
をフィールドとして、現地の各ステークホルダとの連携により、職業保健
教育に関するより具体的なニーズの探索調査を実施。このニーズ調査に基づき、
同国の事情に合わせた形式での教育モデルの構築を現地との実際の取り組みを
通じて模索する。これにより得られる知見より、さらに、一般化し文化や宗教
などが近似する東アジアを中心とした各開発途上国に対する職業保健に関する
教育協力の実施に必要な、教育コンテンツ・教育手法を整理・整備し、当該分
野においての活動を行う際の基盤とする。また、職業保健の教育パッケージ中
にHIV/AIDS
対策など感染症対策も組み入れたパッケージ化を行うことにより、より包
括的かつ緊急、重要な項目も網羅する新たな職業保健の教育協力パッケージ化
を目指す。
3. 成果物
- ス
リランカにおける職業保健の現状調査報告
- 特に東アジアの多民族・多宗教国家に対する、職業保健国際教育協力モ
デル構築に関する可能性調査報告書
- 教育用教材(CD-ROM等)の試作
- 代表者が運営責任者である、保健分野の遠隔教育アーカイブ:
スーパーコースジャパ
ンhttp://www.supercourse-japan.org/上に、「職業保健教育」カテ
ゴリーを新規創設。
- 職業保健教育関連資料のデータベース、資料サイトの創設
- 遠隔教育のための国際教育協力ネットワーク構築:協議連絡ネットワー
クの整備以上を今年度の成果とするべく活動を行う。
4. 国内報告会資料