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教育協力プロジェクトのモニタリング・評価指標ガイドブックの開発 −学校教育編(初年度)

教育協力NGOネットワーク(JNNE)

1 概要

プロジェクト・サイクル・マネジメント手法の普及とともに、日本のNGOによる教育協力事業においても、上位目標、プロジェクト目標、成果の達成度をモニターし、評価するために指標、指標データ入手手段を事業形成時に設定することが一般的となっている。しかしながら、個々のNGOが過去の経験から得られた知見から指標を設定しているケースが多く、指標の妥当性および入手可能性は必ずしも適切とは言えないケースもある。この問題の要因のひとつに、教育課題解決のための介入別の指標、データ入手方法、分析方法をとりまとめたハンドブック類がないことがあげられる。特に、教育指標の定量分析の方法について実践的なハンドブックの開発が求められている。

本計画は、教育協力事業の上位目標、プロジェクト目標、成果の各レベルの定量的な指標の設定、指標データの入手方法、データの分析方法についてのガイドブックを開発することを目的とする。データの入手方法、分析方法については定量分析の理論・方法(サンプリング、平均差の検証、回帰分析等)を活用する。そのために定量分析の専門家による協力を得る。

本計画は2年間の計画とし、第一年目は、学校教育分野の協力事業の指標についてのガイドブックを開発する。学校建設、教員研修、教材開発、学校運営という4つの協力事業ごとに各レベル(上位目標、プロジェクト目標、成果の指標を扱う。第二年目は、学校外教育分野の協力事業の指標についてのガイドブックを開発する予定である。

本計画では、途上国での協働によるハンドブックの開発ならびに開発途上国での検証を以下のプロセスによって保証する。第一に、教育協力NGOネットワークに参加している28のNGOの中から事業規模、介入の内容・方法が比較的典型的であると考えられる学校建設、教材開発、教員研修、学校運営分野の4つの協力事業の事例を選定する。事例は、途上国での実際の教育協力事例であることから、立案、実施プロセスに途上国のカウンターパートである教育行政機関および住民組織との協働作業が既に行われている。たとえば、学校建設事業の場合、州あるいは県政府レベルの教育局、学校委員会等とのカウンターパートと協議、合意を経て、事業の形成、実施が行われている。

第二に、専門家の協力によって、これらの事業の各レベル(上位目標、プロジェクト目標、成果)の指標、データの入手方法、データの分析方法を検討、改善し、モデル案を作成する。この段階において、途上国のカウンターパートとの協議を行い、特に、指標データの妥当性、入手容易性についてコメントをいただき、指標モデル案に反映させる。

第三に、開発されたモデル案を事例の事業が実施されている途上国において検証する。この段階では適用事例を実施しているNGOの海外事務所(合計4カ国の予定)にモデル案(指標、入手方法、分析方法)についての検討を依頼し、カウンターパートである教育行政機関関係者や現地NGO等からのフィードバックをもらう。

第四に、以上のプロセスを経て、汎用性の高い学校教育分野の協力事業の指標モデルについてハンドブックとしてとりまとめる。実際に途上国で実施されている教育協力事業を事例を基に、途上国政府、住民組織からのインプットを通じた協働作業によって、NGOを含む教育協力関係者にとってより実践的で役に立つハンドブックの開発が可能となると考えられる。

ハンドブックの構成案は以下のとおり。
1.教育協力事業における定量分析の有効性と限界
2.学校建設事業の指標と分析方法
3.教員研修事業の指標と分析方法
4.教材開発事業の指標と分析方法
5.学校運営改善事業の指標と分析方法

2 目標

学校教育分野の協力事業の指標の設定、指標データの入手方法、分析方法についてのガイドブックが開発される。学校建設、教員研修、教材開発、学校運営の4つの協力事業ごとに各レベル(上位目標、プロジェクト目標、成果)の指標を扱う予定。

3 成果物

『教育協力プロジェクトのモニタリング・評価指標ガイドブック:学校教育編』(和文、200部)

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