持続可能な発展に向けた教育に励む大学の価値と魅力を伸ばす評価モデルづくり
北海道大学
1 概要
持続可能な社会づくりが人類の喫緊の課題である中、北海道大学はアジア-太平洋地域の高等教育機関と協力して、国際社会が要請する新たな大学モデルを提示し、この大学モデルを目指す発展途上国の大学を支援するための道具として、「ESD大学評価モデル= Alternative University Appraisal Model based on ESD」を開発し、これをもって発展途上国におけるESDの発展に寄与する。
(事業の目的)
アジア-太平洋地域で「持続可能な発展のための教育(Education for Sustainable Development=ESD)」に従事する大学の価値と魅力の増大を目指し、これからESDを導入したい、もしくはこれまでのESD活動をより深化させたいと希望する発展途上国の大学を支援する道具を開発する。
この道具は、「ESD大学評価モデル= Alternative University Appraisal Model based on ESD」と称するものである。この評価モデルは、大学がESDの観点から自らの現状を深く観察する際の「目の付け所」を指南するものであり、加えて、努力・改善すべき点の特定を助けるものである。言い替えると、ESDをより実践的に取り組む大学へと進化するために必要な大学自身の学びを助ける「ガイドライン」であり「道しるべ」である。
(進め方)
アジア-太平洋地域環境大学院ネットワーク(ProSPER.Net)を構成する18の高等教育機関の中から、北海道大学、マレーシア科学大学(ペナン市: USM)、テリー大学(インド・ニューデリー市:TERI)、ならびに事務局を担う国連大学高等研究所(横浜市: UNU-IAS)の4機関がコアメンバーとなって「モデル構築チーム(Alternative University Appraisal Team)」を構成し、他メンバーと協力をしつつ当事業を進める。
まずモデル構築チームは、これまでに日本国内外で行われた「ESDの取組手法」や「ESDの取組評価」「ESDの導入支援」に係る研究成果を収集する。そしてこれらを活用して、アジア-太平洋地域における理想的なESDのありよう(ESD大学モデル= Alternative University Model based on ESD)を定める。さらに、このESD大学モデルへの到達度合いを推し量る際に活用する「ESD大学評価モデル」案を開発する。
会合やシンポジウムなど様々な機会を捉えて、ProSPER.Net のメンバー大学をはじめESDに積極的に取り組んできた経験豊富な世界の大学、そしてESDの促進を担う国際機関の専門家から、この案について意見を徴収する。また、この案をインターネットを通じて公開し、広く世界から意見を徴収する。そして集めた意見を参考にして「ESD大学評価モデル」を洗練させる。
2 目標
(成果について)
- 日本の「知」を活かしつつも、発展途上国の大学が使いやすい「ESD大学評価モデル」を目指すこと。
(プロセスについて)
- 日本国内外の「ESDの取組手法」や「ESDの取組評価」「ESDの導入支援」に係る過去の研究や経験を充分に踏まえて、「ESD大学評価モデル」作成に取り組むこと。
- ESDに積極的に取り組んできた経験豊富な大学ならびにESDの促進を担う国際機関の意見を広く徴収して、「ESD大学評価モデル」の洗練に努めること。
- 豊富な国際経験と蓄積された知を活かして北海道大学がリーダーシップを発揮することにより、多くの国と地域の大学が参画できるグローバルスタンダードな「ESD大学評価モデル」の作成を目指すこと。
3 成果物
- ESDをより実践的に取り組む大学へと進化するのを助ける「ガイドライン」あるいは「道しるべ」として機能する「ESD大学評価モデル」
- 開発した「ESD大学評価モデル」案について、広く世界から意見を募るためのウェブサイト