動物園を活用したマダガスカルのESDパイロットマテリアルの構築
宮城教育大学
1 概要
アフリカ東南部に位置するマダガスカル共和国は、後発の開発途上国であり、豊かで特異な生物多様性を有する一方、人為的環境劣化による環境破壊が急速に進行している。同国の国立チンバザザ動植物公園(以下、チンバザザ動物園)は、首都アンタナナリボ市に位置し、年間20万人以上の来園者のある国内最大級の動植物園・博物館である。チンバザザ動物園は同国の生物多様性に関わる情報を収集し、海外を含む多くの機関と連携して、生物多様性保全に関わる事業を進めている。チンバザザ動物園と仙台市八木山動物公園が進める連携事業はその一つに数えられるものであり、2008年には、両者の交流に基礎を置くJICAの草の根技術協力事業「自然保全のための環境教育実践プログラム研修」が発足、宮城教育大学(実施責任者:齊藤)はこの中で、チンバザザ動物園の職員・技術者を対象に環境教育実践プログラムの企画・指導助言を担当している。現在宮城教育大学は、チンバザザ動物園における環境教育のための人材育成支援・実践指導、および動物園来園者に提供する環境教育教材の開発を動物園関係者と共同で進めている。
ESDにおいて、環境教育の果たすべき役割は大きく、これまで私たちが進めてきたチンバザザ動物園職員に対する指導助言や協働活動によって、チンバザザ動物園の職員に対するESD手法の円滑な移転が可能になり、動物園職員による来園者へのESDの機会が増加し、加えて、動物園をフィールドとした学校のESDの企画が容易になっている。本事業では、草の根技術協力事業における宮城教育大学の協力経験と本学の国際協力イニシアティブ事業成果を活用して、チンバザザ動物園がESDを進めるための教育マテリアル(教材・指導法群)を開発・提案する。動物園におけるESDの試行を進め、年度末には事例成果とともにESD実践を可能とする指導者用マテリアルを作成する。
【次年度は、その事例成果を学校教育へ還元するための取り組みに発展させる。すなわち、動物園と近隣学校(初等教育)との連携を促しチンバザザ動物園を学習フィールドとし、「生物多様性の意義を認識し、それを尊重する価値観と態度を育むこと」、「それをもとに持続可能な社会の構築を目指す考え方を獲得すること」をテーマとした現地教育者用指導教材をつくる。】
2 目標
本事業では国立チンバザザ動物園において、先行する草の根技術協力事業の成果(環境教育実践指導)を背景に、本学の国際協力イニシアティブの事業成果(環境教育教材)を活用して、動物園におけるESD行動計画(動物園がESDを進めるための骨格となる考え方)を提案する。次に、この基本計画にチンバザザ動物園の教育資源を導入し、チンバザザ動物園職員が活用する教材モデル(ESDパイロットマテリアル(教材・指導法群)を、現地の関係者(主に動物園関係者で、これに現地の学校教員が加わる)と共同で組み立て、ESD事例を蓄積する。それらの成果を指導者向けマテリアル「ESDのためのチンバザザ動物園活用パイロットメソッドversion 1」としてまとめる。
3 成果物
ESD指導者向けマテリアルおよびDVD
「ESDのためのチンバザザ動物園活用パイロットメソッドversion 1」(仮題)(日・英)