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開発途上国の初等教育における食農環境教育の普及と推進モデルの構築

横浜国立大学

1 概要

ESD(持続可能な開発のための教育) の地域拠点(RCE:Regional Center of Expertise)として認定されているRCEペナン、RCEセブ、RCE横浜の拠点大学が共同でESD人材育成のためのサマープログラムを開発する。平成21年度は主としてマレーシア科学大学を実施拠点として、フィリピン大学、横浜国立大学の研究者がサマープログラム(モデュール、実施計画、教材)を開発する。

横浜国立大学では平成19年度以降、国連大学高等研究所・マレーシア科学大学との連携のもとに、国際協力を専攻する大学院生をペナンに派遣し、フィールドワークとセミナーを通じてESDを学ぶスタディツアーを実施してきた。今回申請する国際協力イニシアティブは、これまで横浜国立大学が蓄積してきた海外実地教育の経験をもとに、RCE国際連携の枠組みを活かして、日本・マレーシア・フィリピンにおけるESD人材育成のためのサマープログラムを開発するものである。具体的には、平成21年8月にペナン(マレーシア)においてRCE国際ワークショップを開催し、マレーシア科学大学、フィリピン大学、横浜国立大学の研究者がペナンをベースとするサマープログラムのモデュールや教材の開発を行う。また、8月後半にはESD人材育成に関する国際セミナーを横浜で開催し、横浜をベースとしたESDの学習モデルについて専門的な検討を行う。また、平成22年1月には横浜国立大学の研究チームをペナンに派遣して、開発したサマープログラムを試験的に実施し、プログラムの有効性について検証する。そして平成22年2月までに研究成果をとりまとめ、サマープログラムのモデュールや教材を盛り込んだ最終報告書を作成し公表する。

なお、開発するサマープログラムの内容としては、以下のようなものを構想している。まず年度当初に、環境科学や社会科学等異なる専門領域を専攻する大学生(学部生・大学院生)を公募してスタディチームを編成する。スタディチームは春季期間に講義と演習によるアカデミックトレーニングを受けたのち、夏季期間中にペナン(マレーシア)で実施するサマープログラムに参加し、ESDに関するインテンシブな教育を受ける。同様のモデュールはマレーシア科学大学やフィリピン大学においても作成することとし、ペナンのサマープログラムでは各国の学生グループが一堂に会してESDの実践課題を討議し、ESD人材に求められる能力の構築を図る。ペナンからの帰国後は、RCE横浜との協力のもとに、横浜地域をベースにフィールドワークを行い、各自の研究テーマについてタームペーパーをとりまとめる。そしてプログラム修了者には、所定の単位を認定するとともに、ESD人材育成プログラム修了書を交付する(モデュール案については、添付資料を参照)。

本事業の特徴は、開発するモデルの国際性・学際性・地域性にある。これまで横浜国立大学では、国連大学高等研究所・マレーシア科学大学・フィリピン大学との連携のもとに、地域の文化的多様性や伝統的知識を尊重したアジア視点のESD教育プログラムの開発に取り組んできた。今回申請する事業は、このスキームを RCEのマルチな国際連携に発展させ、サマープログラムを通じてマレーシア・フィリピン・日本のESD人材の育成を図るものである。学際性については、本事業では日本・マレーシア・フィリピンの環境科学・開発学・公衆衛生学の専門家に呼びかけ、多面的な観点から、科学的合理性と社会的有用性を兼ね備えた実践性の高い人材育成モデルを構築することを企図している。本申請に先立ち、横浜国立大学では国際社会科学研究科と環境情報研究院の合同研究チームを 2009年3月にペナンに派遣し、学際的な研究がもつ高い教育効果を改めて確認したところである。そして地域性に関しては、RCEの特徴である大学と地域との連携を最大限に追求し、コミュニティに根ざしたESD人材の育成に取り組みたいと考えている。かかる観点から、サマープログラムにおいてもRCE横浜の多様なステークホルダーや学生サークルとの連携を図り、地域性を踏まえたESD人材の育成に取り組む予定である。

2 目標

横浜・ペナン・セブの3つRCEの国際連携をつうじて、アジア視点のESD人材育成モデルを開発する。具体的には、RCE連携のもとで実施するESDサマープログラムを、マレーシア科学大学・フィリピン大学・横浜国立大学の研究者が共同で開発する。さらに、開発したサマープログラムについては、国連大学やユネスコが開催するRCE国際会議、ESD世界会議、ESD国際フォーラム、ユネスコAPEID(アジア太平洋地域教育開発計画)等で発表し、関係機関からの助言を受けて内容のいっそうの充実を図るとともに、ESDへの国際的な取り組みにおける日本及びアジアの高等教育機関の取り組みをアピールする。

3 成果物

  • ESDサマープログラム用教材(日本語・英語))
  • カリキュラム、モデュール、モデル開発プロセスの分析等を盛り込んだ報告書「ESD人材育成サマープログラム」(日本語・英語)
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