サブサハラアフリカの初等教育普及政策下における教育の質に関する比較分析
神戸大学
1. 概要
昨年度の調査研究では対象事例国における教育の質に関して下記の3つのリサーチクエッションを中心に分析を行った。①校長、教員、生徒の出席状況が教育の質にどのような影響を及ぼすか。 ②教員の資格や教え方がどのように教育の質に影響を及ぼしているか。 ③生徒の成績、教員一人に対する生徒の数、教室一つに対す生徒の数、政府の以外からの支援が教育の質にどのように影響しているか。 本年度は、教育の質の分析を定量的分析でなく、定性的な分析手法を用いて深く分析する。主に、①どのような要素が生徒の成績に影響を及ぼしているか。 ②UPE政策がどのように学校・教室レベルでカリキュラムに影響を及ぼしているか。③UPE政策がどのように教員レベルに影響を及ぼしているか。④住民参加がどのように教育の質に影響を及ぼしているかの4つのリサーチクエッションをもとに学校、教室レベルでの調査研究を行い、事例4ヶ国における教育の質の問題について比較ができるようにデータを取り、サブサハラアフリカ地域において共通の課題である教育の質向上のためのレポートを作成する。
教育の質に大きな影響を及ぼす教員の資格や教員一人に対する生徒の数が生徒の学習能力にどのように影響しているか、などについても分析を行う。SACMEQ学力調査のデータがある事例国ではこのデータも使い、現地調査で得たデータと一緒に分析をする。
昨年度の成果を対象事例国の教育省上級官僚や国際援助機関の教育担当者を対象に各国でセミナーを開催し、昨年度の研究成果を共有する。また、今年度の研究成果を国内外の学会で発表をし、多くの研究者や実務者と共有、意見交換を行い、開発途上国の支援に貢献する。
2. 目標
本事業の活動期間は1年間とし、目標は、次の4つとする。
- サブサハラアフリカ地域における初等教育普及(UPE)政策における質の分析についての共通の政策分析フレームワークを再構築する。
- 現地調査を実施して、教育の質の問題点について分析する。
- 同地域におけるUPE政策下の教育の質に関する共通問題および各国に特有の問題を把握し、比較分析をおこなう。
- 本年度の成果を報告書としてまとめる。
3. 成果物
- 比較教育政策分析フレームワーク
- 現地調査の結果を踏まえた報告書