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連帯による「持続可能なエネルギー教育」−地域と大学のローカルシンフォニーによるリサイクルからの展開−

鹿児島大学

1 概要

本事業では、鹿児島大学憲章に基づくプロジェクト事業(社会貢献)「地域と大学のローカルシンフォニー」で実施・検証した「連帯によるエネルギー革命」(別添1を参照)を基礎にしてインドネシア・ジャカルタのデポック地区で、新たにインドネシア大学とデポック市民の連帯によるESDモデル(インドネシア ローカルシンフォニー)を創る。ジャカルタでは急速な人口増加により、水質汚染や、自動車の排気ガスによる大気汚染、廃棄物の増大が深刻であり、これらの持続的な発展を阻害する要因を削減することが課題となっている。本ESDモデル開発では、一般生活廃棄物を取り扱う。平成22年度内に実現可能な事業として、有機系ESD材料としてPETボトル、金属系ESD材料としてアルミニウム缶、電気エネルギー系ESD材料として家電系廃棄物を取り上げる。ESDプログラムの中で「廃棄物の回収活動」を「持続可能性」を支える�_鷦�活動に、「回収した廃棄物の分解・分類」を�∧�析活動に、そして分解・分類を通して「資源化された廃棄物」の活用を「発展性」を保証する�H�展活動に位置付ける。これらの一連の活動が一体とした連帯活動となるためには、地域に活動の拠点となる場が必要である。本事業では、このために「地域ラボ・ステーション」と名付けた活動の場を建設する。

教育基盤の整備が不十分なインドネシア地域で次世代を育てるESDを行うためには、既存の学校組織のみでは不十分である。そのために本事業では、日本とインドネシア双方の大学やNPO、学術協会等の知と人材を活用した組織を作り、ESD活動を支える人的基盤を築く。地域における持続可能なリサイクルシステムのモデルとして鹿児島の大崎町のリサイクルシステムを活用する。大崎町のモデルは、15000人規模の回収活動のモデルであり、焼却や埋設をしないモデルでもある。また、廃棄物を資源化することで年間1000万円の資金を得る経済モデ ルでもある。

回収活動、分析活動、発展活動を行う地域ラボステーションの組織は地域の意識的な私設中学校の教師と生徒を活動母体として、地域の他の小中高校の教師、学生ボランティアが支援者となる構成とする。インドネシアナノ技術協会の科学教育支援組織であるNanoClub(用語説明1参照)は、各地域ラボステーションに活動アドバイザーとして2名の会員を配置する。インドネシア大学と鹿児島大学は、両国の幅広い国際的な協力体制を築き、ワークショップ等の開催を通して持続的な活動の支援を行う。教育を背景としたこの組織は、地域における小規模な教育クラスター(用語説明2参照)を形成し、その活動の場が地域ラボステーション(用語説明3参照)となる。

持続可能な発展を追求する初期段階では、システムの規模を小規模に設定することが適切である。本事業では私設中学校を規模の単位とし、「持続可能性」を支える�_鷦�活動、�∧�析活動、�H�展活動に特化した使命を持った「地域ラボステーション」と3つの活動の成果を効果的に�け�用する活動実践の使命を持った「地域ラボステーション」を設置する。これらの4つの使命に対してそれぞれに設置中学校を選定し、都市や近郊地域などの地域特性に依存した活動の特徴を得るために都市地域に2ブロック(8中学校)、近郊地域に2ブロック(8中学校)、中間的な地域に1ブロック(4中学校)を設置し、全体で地域ラボステーションを20箇所建設する。これらはインドネシアの次世代を担うESD活動の拠点となる。

活動のねらい等を以下に示す。

1) 【回収活動】モデル地域の廃棄物(生活系廃棄物、植物系廃棄物、家電系廃棄物など)の回収は、調査を兼ねており、モデル地域内のエネルギー消費と廃棄物の動態から地域の特徴を明らかにすることがねらいである。
【分析活動】単なる廃棄物回収から、回収したものを分解・分析する活動は、価値を高める経済活動につなげるねらいがある。PETボトルやアルミ缶をカットし板状にする分解活動は、新たな利用価値や、輸送コスト削減により経済価値を飛躍的に増加できることを活動者に教育するねらいがある。家電系廃棄物を分解する活動は、高い技術レベルの部品に触れ、科学技術への興味と関心を育成することがねらいである。
【発展活動】分解・分析・分類で利用価値を高めた廃棄物資源は、新たな「ものつくり」の材料となる。「新たなモノ」のニーズを見出し、ものつくりを実践する発展活動は、廃棄物を「価値あるモノ」に変える本ESDモデルの最も重要な活動である。この発展活動は、「すべての廃棄物」が利用価値を持つことで等しく重要であることを認識させ、「廃棄物」を減少させることが可能であることを理解させるねらいがある。平成22年度は、本ESDモデルの基本的な3つの活動形態モデルを地域に築き、3つの基本活動を効果的に応用する実践モデル原型を完成させる。
2) 活用可能な廃棄物資源には、地域に固有な資源、と他の地域と類似の資源がある。本ESDモデルは、これらの2種類の資源を地域ラボステーション間で活用促進することによって、より大きな規模で持続可能性を拡張できることを理解させるねらいがある。例えば、アルミ缶のデザインは、国によって異なり、図柄も豊富である。透明な板状にしたPETは、アルミ薄板の遮光性を補完した窓材として活用する。アルミ薄板やPET薄板の活用は、デザイン性が高く、芸術性の高い応用が期待でき、教育的効果も高い。内外の芸術家と連帯して、床面積8m2程度の地域ラボステーションを芸術的でユニークにデザインすることにより、視覚的効果とアルミの特性を応用した技術的効果を理解させるねらいを持ったモデル施設を建設する。4m2の壁には約150個のアルミ缶が必要で、1施設当たり約1400個のアルミ缶が必要となる。3学年240人の中学校では、一人当たり6個回収することでラボステーションを建設が建設可能である。具体的なに建設目標が、アルミ缶の数で数値化されるために計画設定や達成状況把握が容易な事業である。
3) 家電系廃棄物は、現在、現地では行政レベルの回収が行われておらず、個人の業者がリユースを目的に回収しているために、利用不可能な機器が不法にインドネシア大学周辺の地区水源である湖沼へ投棄され、地域社会は対策に窮している。本ESDモデルでは、地域ラボステーションに集められた家電系廃棄物は、分解・分析活動により資源化される。今年度は、各種のタイプの電化製品を選択し分解・分析を通しての構成材料や、部品の資源化のモデル作りを行い、流通量を推定し次年度の活動計画につなげる。今後増加する廃棄物処理量を抑制するために、日本が経験した経済成長と廃棄物対策の経験を取り入れながら、インドネシアで、廃棄物の分解・分析・活用を取り入れた新しいESDモデルとして地域ラボステーションシステムを形成し、未活用の廃棄物資源を行政が回収するESDとリンクした新しい役割分担型の廃棄物回収システムの提案を上位目標として平成23年度に行う。
4) 1)、2)、3)のねらいを実現するために、モデル地域内に、20箇所の地域ラボステーションを建設する。インドネシアの中等教育の義務教育普及率向上のためとESD推進のために、インドネシア大学周辺の195校の私設中学校、インドネシア科学技術庁物理研究所の周辺の246校の私設中学校の中から20校を選定し、それぞれの学区内に地域ラボステーションを中学校と協力して建設する。地域ラボステーションは、地域内の学校だけでなく、より多くの私設中学校が利用することでESD活動を広げる地域拠点となる。日本とインドネシアの連帯による地域ラボステーションの建設は、両国の国際的なESD活動推進の拠点となる。
 インドネシアナノ技術協会では、NanoClubを設立し、地域の科学教育を熱心に支援している。 NanoClub の会員は、地域ラボステーション運営にアドバイザーとして協力し、地域ラボステーションの持続的な運営の維持のために、地域の求心力となる科学教育活動「ラボ活動」を本事業の�∧�析活動の具体化として同施設で毎月2回行い、その時に廃棄物を参加費の代わりに持ってくることで�_鷦�活動も行う。鹿児島大学は、インドネシア大学と連帯した「国際協力講座:連帯による持続的なエネルギー教育」を1週間の共通教育短期国際研修プログラムとして実施し、組織的に毎年定期的な�H�展活動の支援を行う。鹿児島大学はこの活動のために、学生の派遣旅費の一部支援を行う。
 NPOニューツーリズムネットワーク鹿児島では、インドネシアの地域ラボステーションの活動を支援するための「インドネシアの自然と持続可能な発展を支えるボランティア活動ツアー」をインドネシアと鹿児島双方の協力での企画し、平成23年度から、連帯活動事業として、日本人ボランティア活動者を募集し、地域ラボステーションの活動、特に�H�展活動を支援する準備を行う。
 NPOかごしま企業家交流協会は、アルミ缶、PETボトルを板状に加工する簡単な装置の原型を製作し、提供することで本事業の全般的な技術支援を行う。平成22年度の9月の国際ワークショップで製作した装置の原理、取り扱い、効果等を講演する。アルミ缶の加工装置は、インドネシアで製作し、高度な技術を要するツール部分は、関連企業から提供する。この装置は、資源回収としてのアルミ缶の取引価格を20〜50倍に引き上げることができるために、将来の地域ラボステーションの自主活動資金を獲得できる技術となる。
 IBS外語学院は、本事業の支援に参加する学生、ボランティアのコミュニケーション力を向上させるために、英語維新講座(用語説明4参照)を鹿児島大学と連帯して開講し、教材翻訳の斡旋や監修を行う。
 地域ラボステーションの様々な情報は、本プロジェクトの円滑な活動に生かすためにインドネシア大学の「地域連携センター」で管理する。地域ラボステーション間では、廃棄物の情報や様々な実践、「資源」を交換し、資源の活用と活動の幅を広げる。今年度の最終で、「持続可能な発展性を持った教育」の実践例を討論する国際会議を開催する。

2 目標

「インドネシア・ローカルシンフォニー」を実現するために、インドネシア・ジャカルタ・デポック周辺地区に20箇所の地域ラボステーションを造る。地域ラボステーションは、対象地域の私設中学校の中から本プロジェクトへの関心の程度、協力体制の整備の状況、実施効果の影響を考慮して、20箇所をインドネシア大学と鹿児島大学が協力して選定する。アンケートはインドネシアナノ技術協会が2010年6月に実施し、7月上旬に設置地域を決定する。設置地域では、私設中学校の教師と生徒が活動の母体となり、学生ボランティアが活動を支援する。インドネシアナノ技術協会のNanoClub会員は活動アドバイザーになり「ラボ活動」の講師となる。この組織が地域教育クラスターを形成し、地域の小中高の生徒のESD活動を支援する。インドネシア大学は、「連帯センター」を設置し学生ボランティアと教員組織で、地域ラボステーションの活動状況の把握、データ管理を行い、地域ラボステーション間の連帯を促進する役割を担う。鹿児島大学は、地域ラボステーションに必要な資材とノウハウを提供し、インドネシアにおける本プロジェクトの円滑な推進を実施する。実施代表者は、7月上旬に、地域ラボステーション設置地域を決定し、活動計画を当該地域の私設中学校代表者と協力者に説明する。地域ラボステーションに必要な機材は、新規購入し、「連帯センター」に必要な机・椅子・棚等は、日本で調達したリサイクル品を活用する。必要機材は7月中に輸送する。8月中旬に、実施代表者は、インドネシア大学と共に、地域ラボステーションの設置状況と活動立ち上げ状況を把握し、適切な助言を行い、9月末の国際ワークショップの準備を行う。9月のワークショップで中間総括を行い、以後の活動方針を修正する。12月には合同検討会を開催し、まとめの指針を決定する。

地域ラボステーションは、1)家庭からの廃棄物分析の機能、2)家電系廃棄物の分解と分類の機能、3)分解・分析・分類で得られた資源を自分たちの生活に活用する機能を持つ。これらの機能を活用した活動を通して「持続的発展可能な教育」のモデルを実践・検証する。具体的目標は、

1) モデル地域内の地域住民による私設中学校運営やインドネシア大学の教員、国研の研究者、学生ボランティアによる私設中学校運営等による教育の連帯活動を本プロジェクトの背景として、10000人規模の地域住民が参加する、小学校、高校まで含めたより広範な連帯によるESDシステムとして「地域ラボステーション」を20箇所建設する。これらのステーションの活動を通して地域の特徴を明らかにし、他の地域に適用するための「地域ラボステーションの建設と活動のためのマニュアル」を作成する。
2) 地域ラボステーションの持続可能性を保証するための4つの活動;�ヾ霑嘆鷦�活動、�∧�解・分析活動、�M�用発展活動、�け�用実践活動、を担うために4箇所の地域ラボステーションが、異なった地域特性をもった5か所の地域で実践活動を行うことで、特異的な事例ではなく一般性の高い活動事例を得ることができる。インドネシアの豊かな太陽エネルギーや地域資源と活用可能な廃棄物資源を組み合わせた「ものつくり」を通して地域内の持続可能な発展のための教育システム例を建設する。急激な人口増加による地域内への商品流入はその「使用価値」の利用を終了すると廃棄物として各家庭から排出される。排出された廃棄物は有価物に転換されなければ、埋設か焼却処分をしなければならない。この手法は、持続可能な手法とはいえず、発展を阻害するものである。そのため、本事業では、埋設や焼却を行わない大崎町リサイクルモデルを応用し、このモデルに新たに、資源化した廃棄物を活用する発展活動を加える。発展活動は、地域内外の新しいニーズを「変化」として感じ取り、新しい商品を生み出す活動を意味している。この活動により、現在の資源流入条件で、廃棄物として排出される量を削減し、新たに生産量を増加することが可能になり、持続可能な発展が具体化できる。本事業では、今年度の地域における教育力の向上の視点を、「ものつくり」を駆動する「ニーズの発見力」の育成に置いている。今年度は、薄板状にしたPETボトルやアルミ缶と家電系廃棄物資源を用いて、ニーズの発見から試験的な「ものつくり」までを行い、芸術性を備えた太陽光利用のための「デザイン」を新たな「使用価値」として取り込み展示する施設として地域ラボステーションを建設する。インドネシアの社会教育環境に合わせて、既存の行政組織の機能を補完する任意の地域教育クラスターを形成することがこのプロジェクトのもう一つの目標である。「ものつくり」のなかにインドネシア地域の個性である「デザイン性」取り入れた活用を行うことで、特色ある「持続可能な発展的教育」の実践を実現し、地域の個性あふれる多様な成果を最終的な国際会議の場で共有する。
3) 持続可能な発展を実現するために、以下の支援活動の継続を行う。平成23年度は、平成22年度に完成した3つの活動モデルと実践モデルを、地域ラボステーションシステムとして結合した活動を支援する。この活動では、1ブロック内の4つの地域ステーションが最小システムとして、3つの活動モデルを共有し、組織的な能力の向上を図る。ブロック内のこの活動をリードするのが実践モデルを担った地域ラボステーションである。地域特性の異なる3ブロックの活動は、より大きなシステムを形成し、最終的に行政とリンクして廃棄物を削減するESD活動として展開する。この支援事業は平成23年度のJICA草の根技術支援事業の地域提案型として申請する。また、人的なネットワークの支援として、鹿児島大学とインドネシア大学の「国際協力講座:連帯による持続的なエネルギー教育」を共通教育短期国際研修プログラムとして実施し、組織的に毎年定期的な発展活動の支援を行う。より一般的な支援形態として、NPOニューツーリズムネットワーク鹿児島では、インドネシアの地域ラボステーションの活動を支援するために、「インドネシアの自然と持続可能な発展を支えるボランティア活動ツアー」を企画し、連帯事業として、ボランティア活動者を募集し、地域ラボステーションの活動を支援する。この企画には20の地域ラボステーションの成果物を学ぶツアーが組み込まれており、成果物の販売とホームステイシステム事業により現地の活動支援経費を一部援助する。
 平成24年度以降は、それまでに培われた地域ラボステーションシステムを、他地域へ拡大するための活動と東南アジア周辺諸国への拡大を行う。地域ラボステーションの拡大は、地域全体での廃棄物の削減の効果と廃棄物資源化による流通による資金獲得、成果物の販売・普及によるESDの普及促進を果たすことができる。

3 成果物

  • 「地域ラボステーションの建設と活動のためのマニュアル」
  • 地域に持続可能な発展性を持った教育システムとして「地域ラボステーション」を建設する場合に必要な、ノウハウや、活動実践例(20箇所)を記載した成果物。これは、他地域での活用・実践のための資料となるものである。
  • 「地域ラボステーション活用による持続可能なデザイン集」
  • リサイクル活用資源を用いて作ったESD教材は、地域の要求に根ざした固有のものである。それぞれの地域の特色が生かされることで、持続性が維持され、他地域と成果を交換することで、新たな発展性が確保できる。デザイン集は、このプログラムの実践を重ね社会教育資産を蓄積するものである。
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