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乾燥地有用食品素材の高度加工による地域発展モデルの構築

筑波大学北アフリカ研究センター

1 概要

EU経済圏への統合によって国際競争に曝されつつある北アフリカ地域では、在来の食品素材の高度加工によって地場産業育成・雇用創出・地域安定化を図ることが、極めて重要な課題である。本センターはこれまでに、バイオアッセイ(生理活性機能性評価法)技術を用いて、北アフリカ原産の植物や食品素材の機能性を科学的に検証し、医療、薬用、機能性食品等の開発につながる産業化シーズを発掘する技術を北アフリカの高等教育機関に移転した経験を持つ。本事業では、その次段階として、日本の先端的食品加工・流通技術を北アフリカに適用することで、現地の食品産業に最適化された有効利用技術体系を確立するための教育協力モデルを構築する。乾燥地特有の食品素材の高度加工は、低環境負荷(持続可能性)および低費用・高収入(採算性)による技術革新ならびに生物資源の循環利用による効率化を導くものであり、途上国の地域発展モデルを構築する上で、学術的・社会的ニーズは高い。本年開催されたTICAD IVのフォローアップ・メカニズムにおいても、地場産業育成による雇用創出は重視されており、在来食品素材を生かした本事業の展開は時宜を得たものである。

2 目標

これまでのチュニジアとの共同研究において、北アフリカ原産のオリーブやアロマ植物に医療、薬用面で多くの機能性が発見され、また、これらの農産物にとって日本が欧州に次ぐ潜在的巨大市場であるとの市場調査・マーケティング分析が行われており、特許の共同出願や共著の学術論文等の成果が得られている。このように、地場産業育成・雇用創出に高い潜在力を有する北アフリカ原産の食品素材を有効利用するための技術教育プログラムとして、チュニジアの中核大学であるカルタゴ11月7日大学、スファックス大学、スース大学、同国の産業化や産業競争力強化の将来を担うボルジュ・セドリアテクノーパーク、スファックス・バイテクノロジー・センターなどにおいて産学連携研究・活動に大きな関心を持つ学生、若手研究者、技術者を対象にした英文テキストを開発する。同テキストは、バイオアッセイ技術によって医療、薬用、食用面で多くの機能性を持つ産業化シーズを科学的に検証・特定し、同シーズを産業化のために高度加工利用することで、食品素材の高付加価値化を図るという一連の技術体系を説明するものである。本事業では、日本の北アフリカにおける教育研究拠点を目指す「筑波大学北アフリカ・地中海連携センター」を足場にして、一村一品プロジェクトによって地場産業育成・競争力強化・輸出振興を目指すチュニジアの中核拠点大学を対象とするが、本事業で提案する現地在来の食品素材の有効利用技術体系ならびに成果物である英文テキストは、途上国における地域発展モデルとして汎用性を有するものである。また、本事業で提案する有効利用技術体系をチュニスの本部よりアフリカ22カ国を開発の視野にいれるアフリカ開発銀行と検討・検証することにより、同テキストは北アフリカ地域を対象とする科学技術協力の案件形成、同地域の大学等を中核拠点としてアフリカ諸国に若手研究者育成を行う南南協力の高等教育モデルを提案するものとなる。

3 成果物

途上国の高等教育分野における食品加工・流通技術に関する英文テキストが成果物として出版される。なお、同テキストの内容は、1)バイオアッセイ技術応用による食品産業のシーズ発掘、2)食品素材の加工・流通による高付加価値化、3)食品素材循環利用による有効利用、4)食品素材の有効利用による地域発展モデルの構築および5)チュニジア現地調査報告などから構成される予定である。

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