サブサハラの基礎教育におけるESDモデル単元カリキュラム・教材開発
北海道教育大学
1. 概要
本学では1997年−2000年,2003年−2006年にJICAとのエジプト国「小学校理数科教育改善プロジェクト」において、初等理数科教育に関しての実践的な取り組みを行ってきた。その経験を活かして、2007年度からは、10ヵ国11名を対象に第1回「初等理数科教授法」、また、2008年度からは、南米4ヶ国8名を対象に「南米地域 算数」の地域別研修を実施しており、現在は10ヵ国12名を対象に「初等理数科教授法」の第2回を実施中である。本申請事業の実施のおいてもこれらの経験が十分に発揮できると考える。
さらに、本学は持続可能な社会実現への地域融合キャンパスを目指し、現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の認定を受け、ESDセンターを学内に設立し、公開授業を開講して「ESDプランナー資格」を授与するなどの活動を行っている。
本プロジェクトのメンバーである大津和子教授(国際教育協力、国際理解教育/開発教育)は、1998年以来8回にわたってザンビアで基礎教育にかかわる調査を実施し、ザンビア教育大臣Dr.Lungwangwaをはじめ、本プロジェクトのカウンターパートのメンバーとも懇意であり、十分な協力を得ることができる。
本学の渡部英昭教授は、エジプト国「小学校理数科教育改善プロジェクト」のプロジェクト委員長として、初等理科の教師用ガイドブックの作成とモデルレッスンプランの開発にかかわった。身近な素材の教材化、児童の活動を主体とする授業づくりは理科授業の根幹であり,これまでの経験は,本プロジェクトでも充分に活用できる。
本学のESDセンター員でもある境智洋准教授(理科教育学)は、かつて北海道理科教育センターに勤務し、ESDにかかわる教材を多数開発し、『エコキッズ・アクションプログラム集』などとして出版されている。とくに「水」をテーマとするESDの教材を開発・実践した経験は、本プロジェクトに活用することができる。
本プロジェクトは、以上のような本学のリソースを活用することにより、ザンビア・ルサカの基礎学校における「水」をテーマとする単元教材を開発することを目的とする。そのために、ルサカでの基礎調査を実施し、ザンビア・日本両国の学校におけるESDに関連する授業の観察・分析を行う。さらに、両国の「水」をめぐる子どもたちの生活を相互に理解するための授業を相手国で実践する。
開発された単元教材はザンビアだけではなく、サブサハラアフリカの学校でも広く活用することができる。
なお、本学は、協定締結先である財団法人日本国際協力センター(JICE)と人事交流を行っている。同交流制度を活用し、ザンビア国の小学校で青年海外協力隊理数科教師隊員として2年間指導した同センター阿部剛職員を、本プロジェクトの業務調整として現地に派遣する予定である。同職員の現地の教育事情にかかわる経験・知識は本プロジェクトの円滑な業務実施に役立つ。
2. 目標
- ザンビア国ルサカで基礎調査を行い、地域における水をめぐる現状、および基礎学校におけるESDの現状を明らかにする。
- ザンビアの基礎学校および日本の小学校を訪問して、「水」をテーマとする授業を観察するとともに、それぞれの学校で相手国(子どもの暮らし、水をめぐる現状など)を知るための授業を行う。
- 「水」をテーマとする単元教材を開発する。
- 報告書を日本語と英語で作成する。
3. 成果物
- 「水」をテーマとするESDモデル単元教材(日本語、英語)
- 今年度の活動報告書