海外教育協力者に対する環境教育実践指導と教育マテリアルの支援
宮城教育大学
村松 隆
1. 概要
宮城教育大学では、本学教員と他大学教員からなる「教育協力拠点形成プ
ロジェクト」を組織し、環境教育に関する教材や教育手法を活用して、青年海外
協力隊派遣現職教員に対するサポート(派遣前研修支援、派遣中隊員への教育支
援、帰国隊員の国際理解教育支援)を進めている。これまでの2年間の事業では
、環境教育分野の隊員に対して、日本の環境教育実践事例、青年海外協力隊活動
報告に基づく協力のノウハウ、環境教育関連用語を提供し、併せて、環境教育分
野以外の隊員(小学校、理数科、保健衛生、幼児教育等の職種)に対して、教材
の活用法や教育の方法に関する支援を進め、支援対象の拡大と共に、支援内容を
深化させつつある。
今年度の事業では、1)これまでに作成したデータベースを、見直しや
追加等により、充実させること[例えば、昨年度2度にわたって実施したカンボジ
ア調査の経験から、隊員が活用する現地指導者向けおよび生徒向けの教材(紙芝
居やポスターのような教育マテリアル)を作成し、これを現地語に翻訳して隊員
へ提供することを含む(モデルとしてカンボジア隊員に対する教材)]、2)特に、ゴ
ミ問題等の生活教育に関連する事項は、全世界の共通する問題であることに鑑み
、我々の今後の活動のために、隊員支援に必要な教材の選定・作成を検討するため
のアフリカ調査を実施しておきたい。
今後の活動とは、事業終了後も青年海外協力隊員へのサポート態勢を維持し、
世界の隊員に対する「参照用・参考用教材の情報提供支援」に加えて、「隊員のた
めの途上国実践教材の提供支援」を進めていくというものである。このための情報
システムの運用体制を整える。
2. 目標
- 「小学校教諭」実践用教材の作成
これまで収集した環境教育関係情報(全データ)の見直しに加えて、「途上国実践
教材」の組み立てを行う。「途上国実践教材」とは、例えば、途上国の小学校教諭
(派遣中隊員)の教材として「紙芝居」のようなものを指す。素材となる絵・図(
途上国の写真や図)・解説等を「素材集」から選択し、ストーリー(文字)を現地
語で挿入し、隊員の生徒教育のための教材、もしくは/および、隊員が現地の教員を
指導するための研修教材として活用するものを想定している。
- 今年度整備した教材を研修用資料としてまとめ、派遣前隊員、派遣中隊員(必要とする隊員)へ提供する。
- 帰国隊員に対しては、隊員自身が利用した教材の提供を促し、派遣前隊員の研修教材に活用したい。
- 帰国隊員の復職後の国際理解教育を促進させる検討のためのネットワーク(大学・教育委員会・JICA)を維持し、大学としての支援のあり方を模索していく。
3. 成果物
- 派遣現職教員研修資料(仮称)(冊子とDVD)
- 海外活用事例集(仮称) (冊子とDVD)